20201008

積読本を紹介する、みたいなのを思い付いた。読んだ本の感想文とか書いたって、「私その本読んでないしわからないわ」で終わってしまいますが、未読の本だったらそんなこと起こらんじゃない? 非常にフェアな状態で読んでもらえる。これはすごいことだよ。ある一冊の本に対して、本を読んだって人の方が少ないのだから。しかも、もう読んだよって人も面白がってくれそうだし、これはうぃんうぃん。

、と思って書いてみたけど、noteに載せるほどでもないのでボツにします。以下、とりあえずようやく手を出そうと思えた「ねじまき島クロニクル」に対する文章。

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「ねじまき島クロニクル」:
 長い。三冊もある。ちょっと前から村上春樹の長編をちびちび読んでいるのですが、三冊はちょっと気合いを入れる必要があるし、その気合いが沸かないままずるずると放置してます。1Q84の方が分厚いですが、時系列順に読んでいるのでそれはあと十年分くらい読まないと手が伸ばせないことを考えると、最初の関門がねじまき島クロニクルじゃないかなあ。まあ、これまでも長いものはあって、世界の終わりとハードボイルドワンダーランドとかノルウェイの森とかあったけど、あのときはまだ二冊だったもんな。三冊ですよ、今回は。
 あ、こんなこと書くと村上春樹のことがあんまり好きじゃないみたいに思われるかもしれないけれど、今のところ好きすぎて困るくらい好きです。村上春樹の文章はとにかく優しいので好きだ。「あるいは」に代表されるような曖昧な表現や、よく使う比喩は、決して断定しないということなのだと思う。何もかもが自分の尺度で感じたことでしかないから、「~だ」と確定させることはある種の暴力だ。だから、ぼかす。もしくは客観的な尺度を用いる。何が何個分の距離、みたいな感じに。そうやって、外界のものをちゃんと外界のものだと、他者を他者として尊重する。それは優しさ以外の何者でもないです。
 さらに、すごいのは、そうやってぼかしているのに抽象的なものになっていないところなんだ。ぼかしてぼかして、モザイク画みたいになってる、でも、描写が上手すぎるせいで、詳細な部分は自分の中にある感情や体験で補完できてしまうから、どの作家が書く文章よりも、実は鮮明で具体的なんだ。だから、村上春樹の書く文章は不思議だった。だから、好きでした。
 というわけで、早めに読みます。
 ところで、ねじまき島ってなんなんだろう。村上春樹は話の筋がわからないタイトルが多い。あらすじを読んでみようと思ったのだけど、「人が死ぬのって、素敵よね」から始まる、それっぽい本文の引用があるばかりで、内容がぜんぜんわからんのですが。誰か教えて! まてよ。よくよく考えてみると、世界の終わりとハードボイルドワンダーランドとかも、あらすじ説明しろっていわれたら無理だな。これは放棄したんだろうか。あらすじの放棄なんだろうか。