20210211

「花束みたいな恋をした」を観た。ネタバレ含みます。

 

 

 

 

 

終電逃した二人が立ち寄った居酒屋で押井守が出てきたとこで笑ってしまったけれど、それでも押井守で始まる恋なんて最高すぎやしないかい? あんなのにちょっとだけ憧れるけど、でもなんか、怖かった。あんまり完璧すぎて怖かった。同じ本を手に取って始まった恋を、現代版に解釈し直したみたいな話で、趣味が同じで、靴も一緒で、だから何もかも楽しくて、あの瞬間はきっと自己愛の変形みたいなものだったのかもなあ。自分とまったく同じ他人の中に自分を見つけて喜んでいる、そんな瞬間だったのかな。そう言われてる気がした。結婚しなかったのはきっと、あまりにも似過ぎたからということで、変わっていく相手が分からなくなったんだろうな。そんな気がします。

麦が、仕事を始めて絵を描かなくなっていくのも怖かった。あんなに好きだった本とか映画の中に空想を見つけられなくなって、信じられなくなっていった。そして仕事をいいわけにしたりして、折り合いをつけていくのが現実だと、そんな風になってくのは今の自分みたいで、あと一年後、僕はまだこんな風に本を読んだり文章を書いたりしているだろうか、と思った。大学生だった頃よりも、僕は本を読んでいないし、映画も観ていない。