20210226

残業することは苦ではなくて、本当にしんどいのは先が見えないことだ。何をすれば終わるのか、どこまで行けば終わるのかがわからないことだ。マラソンをし続けるには、あと何キロ走ればいいのか分かっていることが大事で、そうでなければペース配分がわからない。それは、競技場を走るなら今何周走ったのかだし、普通に街中を走る駅伝みたいなことをしても、あらかじめチェックポイントを把握しておき、ここまで走ったから今は5キロ走ったのだみたいに考える。でも、今の状態は暗中模索のようなもの。足場もわからないからゆっくり一歩一歩、進んでいる気がするけれど、進んでいるのかすらも分からない。実感が欲しい。

体力を使ったから僕はスーパーに行くのもしんどかったけれど、それでは食べるものもないし、お腹が減っているしで、スーパーに行った。そこで何を食べようとか考えて、やっぱり、特別なものがいいなって思ったら、ステーキが目に止まった。ステーキって意外と難しい食べ物だと思う。例えば、野菜炒めを作るのは簡単で、それはほとんどタレの味だからなんだけれど、ステーキの味はどちらかというと焼き加減が味だから、正確に焼かないといけない。家に帰ってきて、ウェルダンにしてやろうと思ってじっくり焼いたら少し焦げ付いた。タレをつけてはみたものの、やはりどちらかというと焼き加減の味がした。若干焦げっぽい肉の味。肉から漏れ出した油の匂い。原始人が食べていた肉はこんな味だったかもしれない。ステーキに噛み付いていると自分が少し野蛮になったような感じがする。繊細だとか、感性とかどうでもいいから全部放っておいて、肉の旨みだけを感じている、そのときは怖いものなんて何もなかった。天気予報が毎日明日を予想してくれる便利な時代に生きているから、なんでも予想できてしまうのが当たり前な気がするけれど、そんなのは実際、馬鹿馬鹿しい。先のことが考えられるとか知らん。肉だ、肉。明日の予想とか知らない頑張るしかないぜ、肉だ、肉。