20210312

「お兄ちゃん、今遠出してるんだけど、こたつの電気消したか不安だから見てくれないかな? 不安で不安で」

と、仕事中にそんなLINEが入りました。大学生の妹からです。アホか、と思った。僕は確かに妹のアパートのスペアの鍵を持っていて、鍵を無くしたときなどに活躍することになっていましたが、こたつの電源を確認するために、一時間以上の時間をかけて行くのはちょっと、それは、めんどくさい。電車賃もバカにならない。極力行きたくなかった。仮に電源の入りっぱなしのコタツを放置したところで火事になるとは考え難く、もしそれで火事になるのだとしたら、コタツで寝落ちしてしまったその瞬間に命の危機だ。でも僕たちは、朝気持ちよく目覚めて、「あ、寝落ちしちゃったんだな」で済むし、その時「火事にならなくてよかった」とは思わない。だから、まあ大丈夫だろう、と思ったんだけれど、僕は心配性なので、妹の家に行ってあげることにした。どんなコタツを使っているのか把握していないので、ちょっと僕も心配になったのでした。心配性なので。

ところが残業があって、仕事が終わったのが8時半とかで、風呂に入ったり料理したり、ご飯を食べたりしたら結局10時くらいになった。そのため、終電で妹の家に向かって、家の安否を確認し、そこで寝て帰ってくる計画になった。「部屋、めっちゃ汚いからね!」と妹は言っていた。

外に出ると雨が降っていて、不穏な予感がその時からあった。最寄り駅まで歩き、そこから何回か乗り換えて向かった。電車の中で急に眠くなった。僕は乗り過ごしの常習犯なのだけれど、これは終電だから、と、ちゃんと起きていなくちゃいけなかった。着いたら早く眠ろうと思った。

残業で疲れた体を引っ張りながら、やっと妹のアパートについた。煙などが上がっている様子は特にないのでやっぱりなと思った。部屋の前に立って鍵を取り出す。はあ、これでようやく休めるぞ、と思った。鍵穴に刺した。だけど、回らなかった。何度も何度も回してみたけれど回らなかった。

妹に電話して、鍵の番号を教えてもらった。全く違うものだということが判明した。大家さんが私たスペアの鍵が違っていたのか、妹が僕に間違った鍵を渡していたのかはわからない。それが、12時半。僕は一体何をやっているのだろうか。外は雨が降っている。雨宿りする場所がないし、終電もすぎていた。仕方ないので近くのカラオケボックスに行って寝た。まじで何をやっていたのだろうか。このご時世なのに、こんな出歩きかたして、ほんとよくない。