20210703

電車で隣に座った少年が、車窓に手を付きながら、「すごい!」「はやぶさだ!」「やばい!」とか言っていた。ひよこみたいに舌足らずな発音が可愛い。四歳とか五歳くらい。

少年のとなりに座っていたお母さんはスマホを触りつつ、少年が言ったことに対して「ほんとだね」「そうだね」と呟くばかりであまり関心を向けていなくて、なんとなく怖くなった。道徳的な問題とかではなく、ただ、いつか少年が自分の発言が聞き流されているという事実に気づく瞬間の風景が、頭の後ろに浮かんだからだ。たぶんぼく自身の経験を投影していただけだったと思う。小学生のとき、ふと自分の発言が流されていると気づいた瞬間があって、ぼくは口をつぐんだ記憶がある。みんなそういうものなのかもしれないけど、やっぱりすごく印象に残っている。

でも、こんなに目を輝かせて発せられた言葉に、どうして関心が向かないのだろう。毎日、子どもには手が掛かって、めんどうなことが多くなって、いちいち反応することに疲れてしまうのだろうか? そんな感じもする。いつかぼくもそうなるかもしれないなあ、親になるのって怖いなあ。でも、今日となりに座ってた少年に「何がそんなにすごいの?」って訊きたくなったこと、それが憐憫とかではなく純粋な好奇心からだったこと、それだけは覚えていたいね。

美容室に行って散髪してきました。マッシュの髪をサイドより前髪長めのタイプにしてもらったんだけれど、これはこれでいいね。センターパートとかやりやすいです。でも、なんというか、ぼくの方向性ではないって思ってしまったので、次美容室に行った時には軌道修正するだろうな。影がなくなった気がする。割と行動的な人の髪型だよなって思いました。もう少し自分の世界に住んでる感がほしいし、将来は影のあるおじさんになりたい。基本的にはいいおじさんだけど、どこか常に人生に迷っていたような雰囲気が見えるくらいの人に憧れる。それで言うと名越先生とかまさにそれなんだけど、あんな人当たりのいい人にはなれないだろうからなあ。どんな風になるのかなあ。